【タイトル】 比良坂ラメント
【ジャンル】 成年コミック
【漫画作者】 比良坂冬
【発売日】 2018年 8月
【掲載誌】 COMIC アンスリウム
【構成】 全10話/短編+シリーズ
知恵の女神の住居に迷い込んだ男
陰気な女の家、捕らわれた男
やさしい女神さまと空っぽの男
ゾンビパニック、戦う女戦士たち
現代ファンタジ・ホラー&バトル
▼ あらすじ
● ルサンチマンはその冬に
現実世界とはちょっぴりズレれた異空間
そこにいたのは、本を読むことに飽きた知恵の女神さま
何十年ぶりかに訪ねてきたのは若い人間の男。意外とキモが座っているその男に興味がわいた彼女、酒をふるまい現代知識を聞き出して
最後に「お礼にひとつだけ知をやろう……」
ちなみに、ルサンチマンとはフランス語で「自分より強い者に対する妬み・怒り」みたいな意味らしい
● 雨の夜のひときらい
雨の中、傘もささずに座り込んでいた男
「行く所がないなら家にいらっしゃい」と女に声をかけられ付いてゆく
辛気臭い家に、陰気な女。イライラしながらその女を押したおすと「雨が止むまでここに居てください」と静かに男を受け入れる……
それから数日
一向に止まぬ雨に、女の言葉が呪縛となって……
● 或る人柱の記憶 前編
とある村の身寄りのない男
神の供物に選ばれ、神域へと足を踏み入れる
二つ角の麗しい女神、ふつうの人間とさほど変わらないけど、彼女が「肉が喰いたい」と言えば近くにいたウサギがみずから駆け寄りバタリ……
絶大な力を持ちながら、人間くさい優しさも持ち合わせた彼女
白紙のように中身のない男をあわれみ、寵愛を与え……
● 或る人柱の記憶 後編
生贄に選ばれた者は「物」へと変化する
初代の人柱は彼女・千姫の屋敷になったとか
そんな千姫と共に暮らすうち、初めて自分の中に欲望が芽生えた男。彼女から永遠に愛でられることを望み……
● リリスの肋骨
世にも不運な男のお話
両親は失踪、ひきとってくれた祖父はすぐに亡くなり、お金はあったから大学には行けたものの友達はひとりもおらず、悪魔に取りつかれ……
男に取りついた悪魔・リリス
寝込みを襲って童貞を奪おうとする淫乱ビッチ
リリスいわく「お前はホントに不幸か? 間一髪のところで助かってきただろう? お前は周囲の人間の運を吸い取って生き延びているんだよ」
なんて諭され、悪魔の誘惑に屈してしまう……
● ワルキューレの補給兵1話
ゾンビウィルスのパンデミックが起こったとある国
ゾンビ化は女にしか起こらず、ゾンビたちが真っ先に襲うのは男。まれに生き残った男は、繭で囲まれゾンビの補給源にされると言う……
そんな世の中、成年男子はすべて従軍することが義務付けられる
新兵のミカミ・ケイが配属されたのは女ばかりの部隊・ワルキューレ。何の訓練も説明もないまま最前線に送り込まれ……
● ワルキューレの補給兵2話
ワルキューレにおける男の役割は「補給源」になること
ワルキューレの正体は、ゾンビウィルスにより強化された半ゾンビ化された女戦士たち。彼女たちにとって男は「エサ」でしかなかった……
● ワルキューレの補給兵3話
対ゾンビ戦においては「補給源」でしかない男たち
ワルキューレに請われれば否応なくカラダを差し出す肉奴隷。場合によっては精液を吸われ過ぎて廃人になってしまう補給兵も
しかし、そんな男たちにもプライドはあって……
● ワルキューレの補給兵4話
最初の実験体で、最初のワルキューレになったアンジェ
他の誰より自分たちがバケモノであることを痛感していて、最近のワルキューレと補給兵たちの甘ったるい関係が気に食わない
それでも、完全には情を捨てきれない
はぐれた補給兵をかばい大ケガを負ってしまう……
● ワルキューレの補給兵 最終話
カラダの90%以上がゾンビ化していたアンジェ
ケガで失った右目への移植はかなわず、それでも最後のその時までゾンビ殲滅のために戦い続けるのが彼女たちの運命であった……
▼ 感想と評価
前半の短編は現代ファンタジー、後半のシリーズはホラー&バトル
昨今では珍しいストーリーものの成年コミック
女神とか、悪魔とか、半ゾンビ化した女戦士とか、ふつうの女のヒロインはひとりもいない。でも「人外エロ」って感じでもない
むしろ「人間くささ」を感じさせるキャラばかり
強くて美しいけど、そこはかとなく儚い女たち……みたいな
美しく仕上がったストーリーに、ファンタジーだけどリアルを感じさせるキャラクター。思った以上に面白かった
ただ、エロとの折り合いはイマイチかな
ストーリーにのめり込めばエロシーンは邪魔ったいし、エロにのめり込めばストーリーはウザったいし。両取りは難しいよね
あんまりエロ漫画向きの話じゃないかも
他の作品にはない、ドラマチックな展開は素晴らしいと思うけどネ
そんな訳で、ちょっぴり大人なストーリーものが好きな人におすすめ!
【ストーリー評価】★★☆(Good!!)
【実用度 (エロさ)】★☆☆(ふつう)
◆◆◆ 比良坂ラメント ◆◆◆
【漫画作者】 比良坂冬
【発売日】 2018年 8月