ダンス・マカブル 西洋暗黒小史
【漫画作者】 大西巷一
【ジャンル】 エログロ漫画
【発売日】 2010~2011年
【掲載誌】 コミックヒストリア
【構成】 全2巻/オムニバス
「死の舞踏」を意味するダンス・マカブル、中世ヨーロッパの暗黒を描いた短編集。異端審問官は魔女狩りの名の下に、罪のない女性を熾烈に拷問。とある女貴族は若さを求め、少女を拉致しては生き血を絞り取り……
▼ あらすじ
● ジャンヌ・ダルク処刑裁判
15世紀フランス、農夫の娘に生まれたジャンヌ・ダルク
神の啓示を受けフランス軍に従軍、百年戦争に参加
イングランドの捕虜となり異端審問にかけられ、火刑に処される。享年19歳
● 残虐皇帝カリグラ
第3代ローマ皇帝ガイウス・カエサル
通称・カリグラ(小さな軍靴の意、幼い頃の愛称)
壮大な建設事業と領土拡大に力を注ぐ
ローマ市民からは人気が高かったが、狂気じみた独裁者・残忍な性格であったとか
紀元41年、将校に暗殺される
● スペイン異端審問
15世紀スペインの異端審問所長官、トマス・デ・トルケマダ
女子供にも容赦なく熾烈な拷問、在職18年間に約8000人を火刑に処したとか
すべては神の御心のままに、と……
● 鮮血の貴婦人
17世紀ハンガリー王国の貴族、バートリ・エルジェーベト
若い血(若返り効果)を求め、農夫や下級貴族の娘を惨殺
「血の伯爵夫人」の異名を持つ、吸血鬼伝説のモデルになった人物とか
事件が公となり幽閉され、衰弱死する
● 十字架のイエス
紀元前2年~紀元33年の預言者、イエス・キリスト
「神の子」を自称した罪によりユダヤ裁判にかけられ有罪判決
ローマ政府により磔刑にさる
むち打ちにより背中の肉がえぐれた状態で、十字架を背負わされゴルゴダの丘へ
絶命する最後の時まで「力ではなく愛に訴えよ」と……
● 聖なる怪物ジル・ド・レ(2巻)
15世紀フランス、ブルターニュ地方の貴族ジル・ド・レ
百年戦争でジャンヌ・ダルクに協力、救国の英雄と呼ばれたそうな
千人にも及ぶ少年への凌辱と虐殺により絞首刑に。「殺人鬼青ひげ」のモデル
● 暗殺の天使と首切りの紳士
若く美しい女性、シャルロット・コルデー
18世紀、フランス革命でジロンド派を擁護したジャン・ポール・マラーを暗殺
その美貌から「暗殺の天使」と呼ばれたそうな
熾烈な拷問に胸を痛めていた死刑執行人、シャルル・アンリ・サンソン
苦しまずに一瞬で死ねる断頭台(ギロチン)を開発
ルイ16世、マリー・アントワネットなど革命で破れた王族を次々処刑する
涙ながらに、若きシャルロット・コルデーを断頭台にかけ……
● 魔女狩り将軍
1645年、イギリス政府から魔女狩りを任されたマシュー・ホプキンス
「魔女狩り将軍」を自称
およそ300人もの無実の女性を魔女に仕立て上げて処刑
報奨金で荒稼ぎしたとか……
▼ 感想と評価
中世ヨーロッパの暗黒史
ジャンヌ・ダルクは元々無知な農村の娘
祭り上げられ、責任を負わされ、むごたらしく火刑される
とっても痛々しいお話し
現代でも似たような構図はちらほら。誰とは言わんけど
異端審問官は、神の名の下に熾烈な拷問をくりかえす
「梨」なる拷問器具で女性器を破壊したり、乳房を切り刻んだり
いわゆる「魔女狩り」という理不尽がまかり通る恐怖はいかばかりか
まぁ、現代日本でも魔女狩りはあるよね
無垢な少女、子を想う母親が拷問されるシーンが、とにもかくにも痛々しい
グロが強烈すぎて、エロを感じるのは余程の変態……
2巻は男色家のジル・ド・レがハッスルし過ぎ
エロはほぼ無し、ただただグロい
こんな時代に産まれずに済んだこと自体が幸運なんだろうねぇ
なんて、しみじみ思いたい人に読んで頂けたらと
ちなみに、ダンス・マカブル (La Danse Macabre)
フランスの寓話で「死の舞踏」という意味 (by wikipedia)
【ストーリー評価】★★☆(良作!)
【グロさレベル】★★☆(中グロ!)
◆◆◆ ダンス・マカブル 西洋暗黒小史 ◆◆◆
【漫画作者】 大西巷一
【発売日】 2010~2011年